FAQ(遠赤外線)


 

Q:10 遠赤外線加熱と近赤外線加熱の利点を教えてください。

A:遠赤外加熱(遠赤外線加熱)は、最大の生産効率ならびにエネルギー効率、そして最高の仕上がり品質を狙うことができ、工程合理化を追求するのに適した方法です。特に、加熱しようとする物の温度をある限度以内に保ったまま処理したい場合、あるいは微妙な温度管理を必要とする場合に、遠赤外加熱は威力を発揮します。
  近赤外加熱の利点は、ヒータ1本当たりのパワーが遠赤外ヒータに比し格段に大きいことです。加熱しようとするほとんどの種類の物体にとって、近赤外エネルギーは遠赤外エネルギーよりも吸収効率が劣ります。しかし同じ面積に投入出来るエネルギーが大きいので、大電力投入による大型機械での高速大量生産などのプロセスでは、エネルギー利用効率が低いという欠点を上回る生産効率効果を上げているようです。ただしこの方式は、もっぱら電力コストの低い国々で利用されています。

 

Q:11 遠赤外線利用効果として省エネになるといわれますが、本当ですか?

A:金属以外の多くの物質は遠赤外線を良く吸収しますので、熱源(遠赤外ヒータ)から放射される電磁波エネルギーを受けると、その表面層で直接瞬時に熱エネルギーに変わります。このエネルギー伝達の無駄がとても少ないのが特長です。また、熱風などの熱媒体も必要としませんので、その分も無駄がありません。
  遠赤外方式以外の、通常の熱媒体を用いた加熱・乾燥方式では、加熱が少し進むと、途端に物質に伝えられる熱流量が減少し、一般に仕上がりまでにかなり時間が掛かりますが、遠赤外方式では、物体に流れる熱流が最後までほとんど減ることなく、短時間のうちに目的の熱処理が完了します。遠赤外乾燥の場合、熱風乾燥に対し、驚くような大幅時間短縮が達成されることは珍しいことではありません。時間が掛からなければ、当然熱損失も少なくなります。この2重の効果によって、遠赤外方式は省エネになるのです。

  このように、遠赤外加熱方式を利用する効果として、省エネは大変よく知られていますが、実は省エネが遠赤外加熱利用の最大の効果ではありません。上記の2番目に述べた特長、すなわち大幅時間短縮が達成されると、生産性の向上、あるいは設備のコンパクト化による設備費の削減、従来のバッチ方式から連続方式への転換が可能となることに伴う省力化、工程合理化など、エネルギーコスト節約を上回る様々な効果が期待できます。その他にも、仕上がり品質のレベルアップへの期待があります。

 

Q:12 遠赤外線で食品を殺菌できますか?

A:食品分野では、安全性、確実性の点から加熱殺菌が最も多く利用されています。遠赤外線も加熱源の1つとして当然利用することができます。
  例えば、カビを接種した後包装した切餅や室内放置し空中の菌を付着させた後、包装した食パンに、遠赤外線を照射し表面温度を74度まで上げた場合、カビの増殖が未照射品に比べ大幅に遅れたという結果が報告されています。遠赤外線殺菌において、カビ以外の耐熱性の強い細菌胞子を対象とした場合には、より高温の処理が必要となり、殺菌で効果があつても品質面等で難しさが増すでしょう。

  基礎的な研究報告によれば、熱風方式や熱浴浸漬方式等に比べ、遠赤外直接照射方式が高い殺菌効果を示した、という結果はよく見られます。従来難しいとされていた、耐熱性の強い細菌胞子に対しても、遠赤外照射方式の有効さを示唆する報告もいろいろ成されています。

  他の加熱方式に対して考えられる、遠赤外殺菌の利点は、食材の表面温度をいきなり上げることなく、かつそこに任意のレベルを保ったエネルギーを継続して投入出来るという点があげられます。時間当たり、遠赤外照射によって対象食材に供給できるエネルギー量は、殺菌開始直後を除けば、熱風などの場合より高いと思われます。すなわち、遠赤外加熱方式を用いれば、食材にダメージを与えることを避けつつ、強いパワーを加えられる可能性があると言うことです。

  しかし食材の殺菌のみを目的とした実用機が活躍しているという報告はないようです。水分乾燥を主たるプロセスとした遠赤外食品シート製造装置や、削り節を作るための前工程である遠赤外魚節焼軟装置などにおいて、同時に殺菌が達成されているということは報告されており、同様の結果は遠赤外食品加熱・乾燥装置において同様に殺菌効果が得られている例は少なくないと思われます。殺菌専用装置が実用化されていない理由は、一つにはコスト的な問題、もう一つは実際の食材に対して、どのような方式で遠赤外照射を行い、また雰囲気等の制御をどのように行えばよいかと行った、実用化を想定したプロセス開発がまだ成されていないことがあげられます。しかし食品業界側のニーズが明確に示されれば、遠赤外装置メーカー側としてもこれに応えることは可能と思われます。今後期待される分野と思われます。

 

Q:13 体に遠赤外線を浴びて健康の心配はないのでしょうか?

A:全ての物質から、その温度に応じて赤外あるいは遠赤外エネルギーが放射されています。千度に近い、あるいはそれ以上の温度の物体からは光(可視放射)も出ており、6000Kに近い太陽からはさらに紫外線も放出されています。我々の周囲の物体からは、格別高温の物体を除いて、主に遠赤外放射が充満しており、人はこの中で普通に生活していますが、全く問題はありません。
  ところで、紫外線はよく知られているように、肌に日焼けやしみを作るような作用があります。すなわち化学反応を起こす力を備えていますので、過度に浴びないよう注意が必要です。可視光は、化学作用を起こす力は紫外線より弱いですが、植物の光合成を起こします。また、まぶしい光を見続ければ眼を痛めるので、雪山ではサングラスを掛けねばなりません。赤外線は可視光より作用が弱く、遠赤外線はそれよりさらに弱く、人の皮膚の表面から高々0.2mmの深さのところで、熱に変わる、すなわち皮膚を暖める、といった作用を示します。
  しかし、運転中の遠赤外加熱炉のヒータの下に手を入れ続ければ、当然火傷をしますし、遠赤外炬燵に入って、身体の同じ部分を長時間ヒータのすぐ下にさらしていれば、低温火傷を起こすことはあり得ます。真夏の道路のアスファルトの照り返しは、遠赤外放射によりますが、時に熱射病を起こします。遠赤外線自体は危険ではありませんが、受け取る放射エネルギーの強さ、あるいはその総量によっては熱的なダメージが引き起こされます。

 

Q:14 遠赤外線利用のサウナの有効性について教えてください。

A:通常のサウナでは室内で高温の水蒸気を多量に発生させ、これを熱媒体、あるいは高温熱源として用いています。この場合の熱の伝わり方は対流という方式ですが、皮膚が高温の蒸気に触れ、体表面温度が高くなることにより発汗が促されます。しかしこの時、過度の暑さや呼吸器官も高温蒸気に触れるため、息苦しさを感じるなど、身体への負荷が大きくなる方向にあります。
  一方、遠赤外サウナは熱風や蒸気などの熱媒体を用いず、通常の雰囲気下における遠赤外ヒータからの放射という熱伝達方式によっています。人体は、遠赤外ヒータからの直接的な放射に加えて、このヒータで加温されたサウナ室の壁材からの放射を受け、皮膚層(体表面から少し深部に入った部分までの間)で吸収した総エネルギー量に応じて、加温されます。これにより発汗が促進されます。この時皮膚はヒータなど高温部分に触れていないので、蒸気サウナのように、いきなり高温になることはありません。もちろん室内雰囲気温度は低いまま推移します。
  遠赤外サウナは、対象物体の表面温度を抑制しつつ、必要な熱エネルギーをその物体に投入出来るという、遠赤外加熱の特長をうまく活かした、身体への負荷を低く抑えつつ、発汗量を追求出来るサウナなのです。


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